質問
子供が私立中学,高校に通っており,生活費がぎりぎりの状態です。
夫(妻)に対し,毎月送金される婚姻費用(生活費)に加えて,私立の学費分を請求できるでしょうか。
回答
原則として,私立入学について,夫(妻)の承諾があることが必要となります。
もっとも,承諾がない場合でも,夫婦の学歴,職業,収入などの生活状況を検討した結果,一定額が認められる場合があります。
解説
家庭裁判所の算定方式・算定表で考慮されているのは,子供の公立中学,公立高校の教育費となります。
したがって,私立高校,中学の学費分は算定の考慮外となります。
そこで,私立中学,高校の学費が上乗せ額として考慮される場合があるか,あるとしてその額をどのように決めるかが問題となります。
どのような場合に上乗せが認められるかについて,絶対の基準はありません。
実務では,支払う側の承諾があるか否か,夫婦の学歴,職業,収入などの生活状況を検討して判断することになります。
一般的に,支払う側が私立に入れることを承諾しない場合は上乗せは厳しいといえるでしょう。
もっとも,承諾がなくても,夫婦の学歴,職業,収入などの生活状況を検討した結果,支払う側に一定額を負担させることが相当と認められる場合には,上乗せが認められることがあります。
上乗せ額については,実際の私立中学,高校の年額の学費から,算定方式で考慮されている公立中学,高校の教育費(たとえば,平成8,10,12年の公立高校平均値ですと,33万3844円)を差し引き,その残額を按分する方法が考えられます。