案件の依頼を受けた場合,多くのケースでは「紛争の相手」がいます。
例えば,債権回収であれば債務者や連帯保証人が相手となりますし,請負代金の請求であれば,注文者が相手となります。
ところで,こちらに弁護士が就いた場合,まず弁護士が就いたことを相手に知らしめる必要があります。
例外的に電話をかけて交渉を始めるケースもありますが,ほとんどのケースでは書面で相手に通知を行っております。
なお,相手に既に代理人の弁護士が就いているケースでは,特段の事情のない限り,電話,ファクシミリなどで交渉を進めていくことが多いです。
書面の送付方法の一つとして内容証明郵便がありますが,弁護士名義の内容証明郵便は,相手に与える心理的影響が非常に大きいといえます。
その結果,内容証明の送付を受けた相手の対応が頑なになって交渉がやりにくくなったり,「話し合いをしようと思ったのにいきなり内容証明をたたきつけられた」などといわれることもあります。
そこで,私は,書面の内容はもちろんのこと,どのような方法で相手に書面を送付するかについても気を遣うようにしています。その際には,紛争の内容,当事者間のこれまでの交渉経緯などから書面の通知方法を検討していきます。
たとえば,あまり相手に気を遣う必要のない不貞行為の相手に対する慰謝料請求の場合は,いきなり訴訟提起するのでない限り,内容証明で通知することが多いといえますが,遺産分割協議や離婚協議などのケースでは,書留郵便で通知することもあります。
親族の揉め事についても,内容証明ではなく書留郵便で送付することがあります。
その他,時効の中断のための催告をするケースや遺留分減殺請求の通知は,内容証明で行うことが多いといえます。
もちろん,弁護士もそれぞれやり方,スタンスがありますので,最初のコンタクトは必ず内容証明でという方もおられるかもしれません。
大宮桜木町法律事務所では,徒らに紛争を招くことをできるだけ避けるため,事案に即した「落としどころ」を見据えながら書面の送付方法にも気を遣うようにしております。