不貞行為に基づく損害賠償請求裁判は,浮気をされた夫婦の一方が原告となって,夫(妻)と浮気した相手(第三者)を被告として訴えます。
したがって,浮気された側が夫であれば,被告は妻と浮気をした男性となります。
浮気された側が妻であれば,被告は夫と浮気をした女性となります。
浮気をした夫婦の一方は,原則として,裁判手続に参加することはありません。
つまり,蚊帳の外ということになります。
しかし,原告,被告の一方が,浮気をした夫婦の一方に対し,裁判に参加するよう促す手続があります。これを訴訟告知といいます。
訴訟告知を受けた場合,告知を受けた者は裁判手続に参加できます。
これを補助参加といいます(詳しい要件は省略します。)。
どのような場合に補助参加するのでしょうか。
たとえば,不貞行為に基づく損害賠償請求裁判の争点が「婚姻関係の破綻の有無」だとします。
この場合,被告は,婚姻関係破綻の事実を証明し,責任を逃れたいところですが,他人の夫婦関係が破綻していた事実を主張立証することは容易でありません。
そこで,婚姻関係破綻の事実を主張立証してもらうため,被告が浮気をした夫婦の一方に訴訟告知をすることがあります。
訴訟告知をされた場合,告知を受けた者が裁判に参加するか否かは自由です。
裁判に参加すると,参加した当事者は補助参加人という立場となります。
補助参加人は,裁判に参加した上で,被告と共同戦線をはり,「浮気をしていたとき,婚姻関係は既に破綻していたのだ」と主張・立証することができます。
もちろん,訴訟告知を受けても,補助参加せず無視することもできます。
ただし,無視した場合でも(補助参加しなかった場合でも),判決の効力は訴訟告知された者に及びます。
補助参加人でも,もちろん弁護士を代理人とすることができます。
その場合,弁護士は「補助参加人代理人」として活動します。