精神的損害が発生していることも,不法行為に基づく損害賠償請求の要件となります。
精神的損害は通常,精神的苦痛を金銭に評価したもの,すなわち慰謝料を意味します。

しかし,精神的苦痛は形のあるものではなく,外から見ることもできません(なお,交通事故の場合の慰謝料は定型化されています。)。

それでは,精神的損害としての慰謝料はどのような基準で算出されるでしょうか。

この点,実務的には

(1)婚姻期間
(2)婚姻関係破綻の有無
(3)婚姻生活の状況
(4)不貞期間
(5)不貞行為の態様
(6)どちらが主導的役割を果たしていたか
(7)未成年の子の有無
(8)請求者側の落ち度の有無
(9)訴訟態度

などを要素として決定されています(慰謝料算定の実務 第2版 千葉県弁護士会 偏 14頁参照)。

裁判で慰謝料の額が争われた場合には,原告,被告双方とも,上記要素で自己に有利な事実を具体的に主張,立証していくことになります。