自己破産はどの裁判所に申し立てをすればよいのでしょうか。
この問題を管轄といいます。

詳細は省きますが,営業者(自営業者)でない方は,原則としてその方の住所地を管轄する地方裁判所となります。さいたま市にお住まいの方であれば,浦和のさいたま地方裁判所に破産の申立を行うことになります。

もっとも,これまで,様々な経緯によって,埼玉,神奈川及び千葉の周辺3県に住民票上の住所がある方も,東京地裁での破産申立をすることができました。

たとえば,さいたま市大宮区に住んでいる方も,さいたまの裁判所ではなく,東京地裁に破産の申立てをすることができました。

何故そういうことになるかですが,例えば,代理人弁護士が東京の弁護士で,近県の裁判所より東京地裁の方がアクセスしやすいなどという理由もあったようです。
その他,各裁判所によって審理の進め方に違いがありますので,その関係もあるようです。

今回,東京地裁では,この運用を廃止した訳ではありませんが,周辺3県に住所のある方の破産申立受理について,東京地裁で申立を受理してよいかこれまで以上に丁寧に審査がされることになりました。事実上運用が改められた形となります。

たとえば,住民票上の住所の記載にかかわらず,現実の生活の基盤が東京都内にある場合は,近県在住でも,東京地裁の申立が受理される可能性があります。

そうでない場合(たとえば,単に代理人の都合などの場合),周辺3県に住所のある方の破産申立は,東京地裁では受理されない傾向になっています。

東京地裁での受理不相当となれば,本来の管轄裁判所に移送されることになります。

埼玉の弁護士としては,埼玉の案件はさいたまの弁護士がさいたまの裁判所に申し立てるのが望ましいと考えています。