離婚に関連して慰謝料を請求する場合,正確には2種類あります。
一つは「婚姻中の不法行為に基づく慰謝料」,もう一つは「離婚に伴う慰謝料」となります。今回はこの二つの概念があることを知っていただきたいと思います。
たとえば,夫(妻)の浮気(不貞行為)を例にとると,浮気されたことに対する慰謝料が前者,浮気などが原因で婚姻関係が破綻し,離婚という効果が生じたことによる慰謝料が後者となります。
なお,以前説明したように財産分与として慰謝料を請求することもありますが,この場合の慰謝料は,「離婚に伴う慰謝料」と同じ意味です。
したがって,財産分与として慰謝料を請求するとともに,離婚に伴う慰謝料を二重請求することはできません。
「婚姻中の不法行為に基づく慰謝料」と「離婚に伴う慰謝料」の区別は,誰に(たとえば浮気であれば,配偶者と浮気相手のどちらに請求するか),どのような内容の慰謝料を請求していくか検討する際に有用となります。
ご相談の際に予備知識としてもたれるとよいでしょう。