訴状が届いたら、適切に対応

訴状が届いたら、適切に対応しないと、原告の請求通りの判決が下されてしまう可能性が高いので、注意が必要です。
訴状が届いたときは、放置することはやめましょう。

この記事では、地方裁判所から訴状が届いたケースを想定します。

届いた訴状には、何が書かれているか

訴状には、裁判所名、原告、被告、請求の内容や理由、訴状の作成日などが書かれています。
また、訴状には、第1回口頭弁論期日や答弁書の提出期限などが書かれた裁判所の案内文も、同封されています。

まずは、訴状も含めて全部の書面に目を通しましょう。

原告と被告

原告というのは、訴えを起こした人のことです。訴状には、原告の氏名や住所等が書かれているはずです。
被告というのは、訴えを起こされた人のことです。送達といって、訴状は被告に送ることになっているので、訴状が届いたわけです。

裁判所

どの裁判所が訴訟を取り扱うのかが分かります。原告と被告の住所が離れている場合など、案件によっては、かなり遠方の裁判所になっている可能性もあります。
訴状が届いたら、裁判所の名前も確認しましょう。

訴状の内容


請求の趣旨という欄に書かれたものが、訴状の請求内容の結論部分です。お金の請求であれば、いくらを支払えなどと記載されています。

次に、請求の原因という欄には、原告がどんな理由で裁判を起こしたのかが書かれています。
身に覚えがある請求なのか、請求の原因に書かれた事実が正しいか、間違っているか、知らないことが書かれているか、などを見ていきます。

答弁書

訴状が届いた際に同封されている裁判所の案内文には、答弁書をいつまでに出してくださいという、答弁書提出期限が書かれています。
この期限までに、答弁書という書類を作成して、提出する必要があります。

答弁書には、請求の趣旨に対する答弁、請求の原因に対する答弁、被告の言い分に加えて、解決希望の方法などが決まっていればその内容などを記載します。被告の言い分を書いていくわけです。

請求の趣旨に対する答弁は、原告の請求を棄却する、訴訟費用は原告の負担とする、などと答弁することがほとんどです。
裁判所の定型書式でも、請求棄却のひな形で書かれていると思いますが、確認してください。訴状の内容によって、記載内容は異なります。

次に、請求の原因に対する答弁には、原告が請求の原因に書いてきた事実等について、間違っているところがあるか、知らないところがあるかなどを書いていきます。
民事訴訟では、一度、間違いがないと認めてしまうと、基本的に後でやはり違いましたと言えなくなってしまうので、認める点は特に注意しましょう(例外などはありますが、細かくなるのでここでは省略します。)。

裁判所の定型書式には、話合いによる解決(和解)を希望します、分割払いを希望しますなどといった欄が設けられています。ここは注意が必要です。

たとえば、請求自体に身に覚えがなく全面的に争う予定の場合なのに、いきなり和解希望というのでは違和感があります。

また、既に消滅時効にかかっている場合は、時効援用をするだけで支払いを免れるケースがありますが、書き方によって債務を認めたものと理解され、消滅時効が援用できなくなる可能性があります。
不利益にならないように、記載内容は慎重に考えることが必要です。

証拠


訴状が届いたら、原告が提出した証拠の写しが同封されていますので、訴状と証拠を照らし合わせて、よく確認しましょう。事案によっては、原告がまだ証拠を提出していない場合もあります。

被告としては、答弁書の提出にあたり、被告にとって有利な証拠がある場合は、証拠の写しを提出します。証拠の原本は、裁判の日(口頭弁論期日)に、裁判所と原告に見せることになります。

被告側で考えられる典型的な証拠としては、原告が貸したお金を返してほしいと請求してきた場合に、被告が既に弁済をしたことを示す領収証を提出する場合などです。

裁判は、証拠がものをいいますので、有利な証拠は自分で提出しておく必要があります。裁判官が家に来て有利な証拠を探してくれるわけではないので、気を付けましょう。

第1回口頭弁論期日に出席できない場合

第1回口頭弁論期日は裁判所から一方的に指定されますので、被告はその日は出席できない場合があります。その場合でも、答弁書は必ず提出しておきましょう。

このとき、あまり中身のない答弁書を出してしまうと、それ以上は反論するつもりがないと理解されて、第1回口頭弁論期日で弁論終結され、判決言い渡しへ向かってしまう場合があります。

準備が間に合わないときでも、追って主張するなどと記載し、反論する意思があることを明確にしておきましょう。
適切な答弁書を提出すると、通常は、第2回口頭弁論期日が指定されて、期日が続行になります。

裁判所が遠い場合

遠方の裁判所の場合は、裁判に出席するのが難しいケースがあります。たとえば、関東に在住の方が、九州の裁判所に訴訟を起こされた場合などは、なかなか出席できないと思います。

その場合、電話会議システム等を利用して、裁判対応をする制度もあります。被告側に弁護士が代理人として就任した場合は、弁護士が電話等で期日対応できるでしょう。

訴状が届いたが、どうしたらよいか分からない場合


訴訟に慣れている方以外は、訴状が届いたとき、どうしたらよいか分からないと思います。
分からないときは、あまり考えすぎず、弁護士に相談するのが早いです。

弁護士に相談すると、弁護士が訴状を確認し、事情をお聞きするなどして、その後の対応を考えます。
相談の結果、弁護士に代理業務を依頼する場合には、弁護士が代理人となって答弁書を作成、提出し、裁判所にも出席してくれます。
なお、第1回口頭弁論期日だけは、期日が一方的に指定される等の関係で、適切な答弁書を提出した上で欠席する場合もありますが、これは一般的にもよく見られる対応です。

弁護士への相談は、訴状が届いたら、すぐにされた方がよいです。裁判対応は早いに越したことはありません。
また、訴状が届いたのに、しばらくそのままにしてしまい、裁判の日が近くなってから相談されますと、できる準備が限られてしまう場合もあります。

訴状を放置してしまい、そのまま敗訴することのないようにしましょう。

大宮桜木町法律事務所にご相談の場合


大宮桜木町法律事務所では、ご相談は事前予約制となっております。
電話048-783-3523にお電話をいただき、相談のご予約をお取りください。

相談の日は、届いた訴状や、訴状に同封されている書類一式をお持ちください。
可能であれば、これまでの経緯や原告とのやりとりなどが分かるように、メモを作ってきていただけるとスムーズです。
もちろん、メモがなくても相談を受けられます。

当事務所ではご相談だけでも対応しています。

ご相談の結果、もし弁護士に依頼されたい場合には、担当弁護士におっしゃってください。
費用や弁護の方針を事前にご説明しております。ご納得いただけましたらご契約となり、委任契約書と委任状にご署名ご捺印をいただきます。
持ち帰って検討されても大丈夫です。

念のため、その場で委任契約をされたい場合に備えて、法人の場合は社判と代表印を、個人の場合は認印(朱肉利用)をお持ちください。