離婚の際に,多くの当事者は精神的苦痛を受けますので,相手に慰謝料請求したいというお気持ち自体はそのとおりかと思います。
しかし,法律上,慰謝料請求することができるケースか否かは,慎重に検討する必要があります。
慰謝料のご相談を受けた場合,以下の順序で聞き取りを行っていくことが多いといえます。
手順1 慰謝料を請求する理由があるか(慰謝料請求の要件となる事実があるか)
たとえば,不貞(浮気),暴力,暴言など
↓
手順2 証拠の有無(慰謝料請求の要件となる事実を証明できるか)
たとえば,浮気現場の写真,メールなど
↓
手順3 慰謝料額(損害額)をいくらにするか(どれくらいの精神的苦痛を受けたか)
それぞれの弁護士がこれまでの経験,裁判例,落としどころを踏まえ算出
聞き取りの結果,概ね以下のケースのいずれかに当てはまることになります。
ケース1
手順1すら認められない
→ 慰謝料請求不可
(たとえば,単なる夫婦の不仲ではそもそも慰謝料の理由となりません。)
ケース2
手順1は認められるが,手順2の証明ができない
と判断される場合
→ 請求は可能だが,相手が争う可能性大で,争われると裁判で敗訴するリスクあり
ケース3
手順1が認められ,手順2の証明も可能と判断さ
れる場合
→ 慰謝料請求可能
一番の悩みどころは,全く証拠がないわけではないが,証明が不十分なケース(手順2と手順3の中間)といえます。
ご相談の際には,事前に以上の手順を予備知識にされるとよろしいでしょう。