近隣トラブルの代表例に、境界(筆界)の争いがあります。

境界と筆界は同じ意味で用いられることが多いですが、正確には、筆界とは、「土地が登記された際にその土地の範囲を区画するものとして定められた線」のことをいいます(法務省ホームページから引用)。

ポイントは境界(筆界)は、所有権の範囲とは異なる点です。

したがって、境界に関する争いが生じた場合には、当事者間(隣人間)で勝手に境界の合意をすることはできません。

争いがある場合には、法務局の筆界特定制度を利用するか、境界確定の訴えによって境界を確定させることになります。

 境界が争われる場合、当事者間で話し合い解決をすることはできず、①法務局の筆界特定制度を利用するか、②境界確定の訴えによることが必要となる点を前回説明しました。

 それではいずれの手続をとるべきでしょうか。

 一概には言えませんが、以下のようなメリットから、筆界特定制度を先に申し立てることが多いように思われます。
・ 申立費用が訴訟より低廉ですむこと
・ 訴訟よりも短期間に筆界特定の結論がでること
・ 土地家屋調査士等の専門家が筆界特定の判断に加わること
・ 弁護士に依頼しないでも利用が可能なこと

 もっとも、筆界特定制度は裁判ではなく、筆界特定の結果によって法的に筆界が確定するわけではありません。
 したがって、いずれにしても、裁判になる可能性があります。