今回は賃貸借契約書を取り上げます。

賃貸借契約は、マンションを借りるときなどにも利用され、なじみの深い契約といえます。

通常は管理会社や仲介業者が備え置きの賃貸借契約書のひな形を準備しますが、当事者間で作成するときには注意が必要です。

たとえば、自宅以外の土地で、更地になっていた土地を建物所有目的で第三者に賃貸し、第三者がその土地上に建物を建て利用するケースが考えられます。

こういったケースで、特に貸し手は、借地借家法が適用される場合には注意をしなければなりません。

というのも、借地借家法によって借り手は強い保護を与えられ、極端な言い方をすれば、一度貸してしまうと半永久的に戻らないといっても過言ではないほどの強力な権利が借り手に設定されるからです。

それでは、期間を短期に限定して貸し付けをしたい場合はどうすればよいでしょうか。
インターネットで検索すると、その方法として、「一時使用目的の賃貸借契約」が出てきます。
確かに、借地借家法25条には一時使用目的の規定があり、同条が適用されると、借地借家法の更新の規定等は適用されないことになります。

しかしながら、貸し手は一時使用だと安心していても、契約設定時にしっかりとした対応をとらないと、借り手から一時使用目的を争われることがあります。

期間を契約書で短期間に明示したから大丈夫だというわけではありません。裁判例を見れば、契約書を取り交わしても、争われているケースはいくらでもあります。

一時使用目的の有無について争われた場合、判例は、①対象とされた土地の利用目的、②地上土地の種類、③設備、④構造、⑤賃貸期間等諸般の事情を考慮し、賃貸借当事者間に、短期間に限り賃貸借を存続させる合意が成立したと認められる客観的な理由があるか否かを判断基準としています。

当然のことながら、契約書をどのような形で、どのような内容で取り交わしたかは決定的に重要な証拠となってきます。
我々弁護士は、上記判例や裁判例で重視された判断要素(事実)を考慮して契約書の作成等に望みます。

一時使用目的は一つの例ですが、貸し手が賃貸借契約を締結する場合、無用なトラブルを避けるため、契約書の作成には注意しなければなりません。

賃貸借契約書の作成をお考えの方は、まずは大宮桜木町法律事務所にご相談下さい。