交通事故では、過失割合が問題となることがあります。1対9とか、3対7などと、割合で決まるものです。
過失割合は、どんな事故だったのか、どちらの責任が重いのかを争うだけでなく、賠償額に直接影響する要素です。

たとえば、こんな例で考えてみましょう。
AさんとBさんが、それぞれ四輪自動車を運転していました。以下、AさんはA、BさんはBと呼びます。
Aの車両とBの車両が衝突しました。両方の車両とも、一部が壊れ、AもBも負傷しました。
ABそれぞれに、車の修理費などの物的損害と、治療費などの人的損害が発生しています。

Aの損害額は300万円、Bの損害額は150万円だったとします。
つまり、Aの損害額の方がBより2倍大きいわけです。

A 300万円
B 150万円
※AがBの2倍の金額です。

このとき、過失割合について、①Aが2割、Bが8割の事例と、逆に②Aが8割、Bが2割の事例で考えてみます。

①Aが2割、Bが8割の場合
AがBに請求できるのは、240万円です。
計算式:300万円×(1-0.2)=240万円。
他方、BがAに請求できるのは、30万円です。
計算式:150万円×(1-0.8)=30万円。

まとめると、Aは240万円ですが、Bは30万円になります。

②Aが8割、Bが2割の場合
AはBに請求できるのは、60万円です。
計算式:300万円×(1-0.8)=60万円
他方、BはAに対して、120万円を請求できます。
計算式:150万円×(1-0.2)=120万円。

まとめると、Aは60万円になり、Bは120万円です。

損害額はAの方がBより2倍大きかったのに、実際の金額では逆転して、AはBの2分の1になることが分かりました
このように、損害額が大きい場合でも、過失割合によって、賠償額に大きな違いが出るのです。

基本的には事故態様によって過失割合が決まりますので、後は話し合いで双方が納得できれば良いことです。
しかし、どんな事故だったのか、お互いに言い分が全然違う場合も起こりえます。

事案によりますが、事故態様の主張を裏付けていくため、双方の話だけでなく、実況見分調書、自動車についた傷の状況、道路状況など、総合的に考えて、主張し、立証する必要があるでしょう。
話し合いで示談に至らない場合には、調停や訴訟といった裁判所を利用する手続が考えられます。
また、過失割合の主張が食い違う程度によって、交通事故紛争処理センターでの解決を検討する場合もあります。

大宮桜木町法律事務所の弁護士相談では、こうした交通事故の過失割合に関するご相談もお受けしています。