交通事故の被害にあったとき、弁護士にどのタイミングで相談すればよいのかを、お悩みではありませんか。
以下では、主に人身事故を想定して、弁護士に相談した方がよいタイミングをご説明していきます。
1 交通事故後のできるだけ早いタイミング
交通事故にあった直後は警察、救急、保険会社への連絡や、医療機関へのご通院など対応することが多いですが、ひととおり落ち着きましたら、できるだけ早いタイミングで弁護士に相談することをお勧めします。
人身事故の被害にあうと、今後はどんな流れになっていくのか、適切に治療費を払ってもらえるのか、どんな賠償を受けられるのか、過失割合はどうなるのかなど、不安なことが多いと思います。まずは弁護士に相談することで、全体像をつかむことができ、一定の見通しや今後の対処方針が立てられます。
人身事故では、自賠責保険の基準、任意保険会社独自の基準、裁判基準という3つの賠償基準があるなど、重要な知識が多くありますので、相談によって早めに備えることができます。また、通院にあたっての注意点などのアドバイスも受けられます。
知識を得ているだけで、損をしづらくなるのが交通事故賠償の世界です。
2 治療中のタイミング
(1)通院にあたっての注意点を知りたいとき
今後通院をする上での注意点を知っておきたいときには、弁護士にご相談ください。通院にあたっては、通院期間や通院回数などが慰謝料に影響することや、通院間隔を空け過ぎないなどの一般的な注意点のほかに、健康保険を利用するかどうかも検討が必要です。
医師からはリハビリに頻繁に通うように指示があっても、仕事などで忙しくてあまり行けなかったとなると、賠償上は不利になる場合があるので注意が必要です。
(2)通院先を追加変更したいとき
通院先の医療機関を変えたい場合、接骨院を追加したい場合などが一例として挙げられます。
どうやって変更すればよいかが分からないとき、相手方保険会社との調整がうまくいかないとき、接骨院の通院が賠償に及ぼす影響を知りたいときなどに、ご相談が想定されます。
(3)保険会社から治療費の打ち切りを通知されたとき
むち打ち症などですと、事故から3か月くらいで、保険会社から治療費の打ち切りを通知されることがあります。
保険会社の言い分に合理性があるかなど必要な事項を調査し、不当な打ち切りであれば争うことが必要です。
治療費の打ち切りをされると、通院を断念するか、被害者が自分の負担で通院して後日に加害者へ請求するかを選択することになります。いずれの場合でも、加害者側の保険会社が賠償として認めるのは治療費の打ち切りまでの期間ですから、すんなり示談がまとまらない可能性が高くなります。
保険会社は、治療費の打ち切りまでの期間で休業損害や慰謝料も算定します。そのため、主治医が治療の必要性や相当性があると診断しているのならば、治療費の打ち切りにあうことなく、治療費の支払いを継続してもらうように交渉することが大切です。
弁護士には、治療費の打ち切りに関する相談をしたり、打ち切りをしないように保険会社と交渉するように依頼をすることが考えられます。
たとえば、交通事故が1月に発生し、保険会社が事故後3か月目の4月に治療費の打ち切り通知をしてきたとします。医師は5月以降も通うように指示しています。この場合、4月の打ち切りを受け入れてしまうと、治療費はもちろん、休業損害も慰謝料も4月までで算定されるのです。
仮に、保険会社に8月までの治療費支払いを認めさせることができれば、安心して継続治療を受けられるだけでなく、休業損害も慰謝料も増額されていきます。通院期間の長さは後遺障害の認定にも影響します。
(4)後遺障害が残りそうなとき
後遺障害が残るかもしれない場合は、治療中から後遺障害等級の認定を想定しておくことが重要です。後遺障害等級は1級から14級まであります。
後遺障害等級が認定されないと、保険会社は交渉において後遺障害分の賠償を行わないのが通常です。過去の通院状況は後からではどうにもできませんので、弁護士に相談して、早めに対応方法を相談しておくことが有益です。
治療を続けても良くなる見込みが乏しいときには症状固定となり、保険会社は治療費の支払いを終了します。
後遺障害等級の認定を受けるためには、通院終了時に、主治医に後遺障害診断書を作成してもらうことが必要です。
弁護士に相談すると、後遺障害診断書を作成してもらうにあたっての注意点を聞くことができます。また、等級が認定された場合には賠償額がどのくらい増えそうかも分かります。
3 後遺障害の認定を申請するタイミング
後遺障害診断書を作成してもらった場合、後遺障害等級の認定を受けるには、自賠責保険に提出する方法(被害者請求)と、加害者側の任意保険会社に提出する方法(事前認定)があります。
どちらも損害保険料算出機構が審査しますが、被害者請求は資料の収集に手間がかかるものの、自分で提出資料を追加したりできるのがメリットのひとつです。事前認定は加害者側の任意保険会社が手続します。
後遺障害の認定を申請するタイミングで弁護士に相談すると、後遺障害等級が認定されるための手続や見通し、必要な知識などを得られます。
また、弁護士に代理人を依頼すると、手続を代わりに行い、その後の示談交渉も行えます。もし、後遺障害等級の判定が一度目はだめでも、異議申し立てをして、再度の審査を求めることもできます。
4 保険会社から賠償提示が届いたタイミング
保険会社から賠償提示が届いたときに初めて弁護士に相談される場合もあります。
保険会社は普段から交通事故の対応をしているのに対し、被害者は初めての方も多いので、被害者は専門家のアドバイスを受けないと知識量と交渉力に相当の差が出てしまいます。
保険会社の賠償提示額は適切でない場合があります。保険会社の言っていることが正しいのだろうと思ってしまわずに、示談書や免責証書に署名押印する前に一度は弁護士に相談し、適正な賠償額を知ることが大切です。
たとえば、入通院慰謝料は、保険会社の賠償提示額と弁護士が代理人でついた場合の請求額(裁判基準)には大きな開きがあることも多いので、注意が必要です。
5 示談交渉がうまく進まないタイミング
交通事故の被害者と加害者側の任意保険会社とで示談交渉を行っても、うまく進まない場合は、弁護士に依頼して、代わりに交渉してもらう方法があります。
弁護士が入っても、双方の開きが大きくてまとまらないときは、裁判外の示談あっせん手続や、訴訟提起などを取ることが考えられます。
6 最後に
以上は代表的な相談タイミングですが、これらに限らず、交通通事故の被害で困ったことがあれば、気軽に弁護士にご相談ください。
弁護士へのご相談にあたっては、ご加入の自動車保険等に弁護士費用保険(弁護士費用特約)がついていないかをご確認ください。弁護士費用保険がついていれば、弁護士への相談料は保険会社が支払いますので、ご負担はありません。
弁護士費用保険に加入されていない方でも、大宮桜木町法律事務所では、交通事故被害者の方に無料相談を実施中です。
オンライン相談も実施しております。
このように、相談料のご負担がありませんので、タイミングにかかわらず、交通事故に関する弁護士への相談をご利用しやすいと思います。
記事の執筆者
埼玉県さいたま市大宮区桜木町4-241-2山崎第二ビル5階A
大宮桜木町法律事務所
弁護士 山下紘司
電話048-783-3523