労働者側の労働問題
中小・中堅企業に勤務されていると、不当な解雇や給与の未払いなどのトラブルが降りかかってくることもあります。特に、解雇については経営者側が労働基準法の基本的な知識を持っていないケースもあり、社長の一声で人事が進められることもあります。
また、ある程度の大きさの企業でも、経営不調などを理由に、一方的に人員整理をされてしまう場合がないわけではありません。人員整理の方法も、希望退職とは名ばかりの長期間におよぶ説得、仕事を与えないで時間を過ごさせるリストラ部屋など、問題があるケースがあります。
私たちは、会社と交渉することに加え、労働基準監督署とは違い、裁判を前提に相手と争うことが可能ですので、このような問題にもしっかり向き合い、みなさまが納得できる解決を導くようサポートしていきます。
大宮桜木町法律事務所の弁護士3名は、埼玉県社会保険労務士会の大宮支部で、労働分野の講師を担当した経験があります。
このようなことで悩んでいませんか
- 会社から一方的に解雇を通達された。
- 会社から契約を更新しないと言われた。
- 未払いの残業代を支払ってもらいたい。
- 遠方への転勤を命じられた、転勤できない事情がある。
- 給与の遅延が続き、退職したが未払い分の給与を支払って欲しい。
- 上司にセクハラ、パワハラを受け、会社に訴えたが取り合ってもらえない。
解雇の無効を主張したい
不当解雇
会社から、突然に解雇を言い渡されたら、本当に解雇が有効なのかを確認する必要があります。解雇は、会社が何でも自由にできるものではないからです。
解雇は、「客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない場合は、その権利を濫用したものとして、無効とする」(労働契約法16条)とされています。客観的に合理的な理由、社会通念上相当という要件は、簡単には認められません。
他に、労働組合法や男女雇用機会均等法など、個別の法律で解雇を規制するものがあり、法律に違反する解雇は許されません。
解雇が無効となれば、解雇された後の給料分も請求することができます。
解雇理由については、口頭だけでなく、「解雇理由証明書」を発行してもらいます。
ただ、一度解雇を言い渡された以上は、職場に戻るよりも、話し合いで金銭的に解決することもあり得ます。その場合は、解雇理由がどのくらい正当性があるかによって、金額も連動してきます。
解雇が認められそうなら金額は低めになり、解雇が否定されそうなら金額が上がる傾向に働きやすいでしょう。
整理解雇
整理解雇は、企業の経営上の必要性から行われる解雇のことです。整理解雇にも解雇権濫用法理の規制がかかります。人員削減の必要性、解雇回避努力、解雇者の選定の合理性、解雇手続の妥当性という4要件を満たす必要があり、この4要件がクリアされないと解雇権濫用として解雇無効になると判断した裁判例があります。
4要件を厳しくとらえるよりも、4要素ととらえ、総合判断で結論を出す裁判例があります。
不当解雇に対する法的手続
不当解雇された場合、話合いで解決できないときは、労働審判を申し立てるのが有効な選択肢の一つです。
労働審判は原則として3回までの期日で結論を出します。
3回の間に和解が成立することも多いです。もし和解にならなければ、審判によって結論が示されます。労働審判に不服があるときは、訴訟に移行することができます。
その他、賃金仮払いの仮処分を申立てる方法や、労働審判になじまない案件では訴訟提起をすることも考えられます。
解雇後の賃金
Q 勤務先から合理的な理由なく解雇されてしまい、会社で働けなくなりました。解雇は無効だと思います。解雇無効判決を得た場合、解雇された後の給与は支払ってもらえるのでしょうか。
A 解雇後の賃金を請求した場合で解雇無効判決となったとき、会社には、原則として、解雇から解雇無効判決までの間の賃金を支払うよう命じられます。
ノーワーク・ノーペイの原則といって、働いていない間は給与をもらえないことになりそうです。しかし、なぜ労働者が働けなかったのかというと、会社が無効な解雇をしたからで、原則として会社側に責めに帰すべき事由があるからです。
それゆえに、民法536条2項により、労働者の賃金支払請求権は失われないことになり、解雇後の賃金について支払いが命じられるわけです。
ただし、解雇から解雇無効の判決が下されるまでには、それなりの時間を要します。解雇後に他の会社で就労し、給与(中間収入)を得ている場合もあるでしょう。
中間収入を得ていた場合は、原則として解雇された会社に償還しなければならないことになります(民法536条2項後段)。
中間収入があれば全額が控除されてしまうのかが問題となりますが、最高裁判所は、 使用者が労働者に対して有する解雇期間中の賃金支払債務のうち平均賃金額の六割を超える部分から当該賃金の支給対象期間と時期的に対応する期間内に得た中間利益の額を控除することは許されるなどと判断しています (最判昭和62年4月2日) 。
残業代請求
残業代請求は、在職中から行うことができますが、退職後や不当解雇を主張する場合に併せて行うことも多いです。
残業代は、タイムカード、就業規則、賃金規定などの客観的資料をもとに計算します。労働者側は手元に資料がないことも多いので、その場合は、会社に対し資料の開示を請求します。
情報を精査した上、会社に対し残業代を支払うよう内容証明郵便を送付したり、支払がなければ労働審判や訴訟等で請求することを検討していきます。
残業代には消滅時効があるため、請求すると決めたら早めの対処が必要です。
労働審判を活用してみなさまの権利を守りましょう。
労働審判制度は、地方裁判所で行われる労働問題による紛争のみを取り扱う専門の制度です。3回以内の手続で裁判所が審判を下すため、多くのケースで裁判をするよりも迅速に問題を解決することができます。
労働審判は、不当解雇や未払賃金請求などの事件でよく利用されます。
企業側の労働問題
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